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Gmail新ガイドラインの狙いやSendGridの活用方法が語られたユーザーイベント「SendGrid Night #10」参加しました
こんにちは、primeNumberです。
去る1月31日、構造計画研究所が開催したイベント「SendGrid Night #10」に参加してきました。
SendGridは、米国Twilio Inc.が運営する世界的なメール配信サービス。国内では構造計画研究所が正規代理店として、SendGridの日本語ドキュメントや日本語サポート、日本円決済などを提供しています。
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primeNumberでもSendGridを利用してはいるものの、なかなか使いこなせているとは言い難い状態。より効果的にSendGridを活用するための学びの場として参加してきました。
メール業界で一番大きな変化だった「Gmailのメール送信ガイドライン」を解説
トップバッターとして講演した構造計画研究所 SendGridエヴァンジェリストの中井勘介さんは、Gmailが提唱するメール送信のガイドラインについて語りました。
中井さんは「Gmailのガイドラインはメール業界において一番大きな変化だった」と前置いたうえで、「Googleの基準に悪く言うと踊らされている面もあるが、Googleが言っているのは大きく2種類で、それは『認証と信頼がないメールは受け取らない』『素行の悪いメールは受け取らない』ということ」と説明。「変なメールが来ないように、ではなく、受信者が質の高いメールを安全に使えることが狙いだ」と解説しました。
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Google以外でも「米国ではYahoo!のメールも同様にガイドラインが厳しく、Microsoftもパブリックなアナウンスはしていないがイベントなどでガイドラインを厳しくすると発言している」との動向を紹介。「ただGoogleが言っているから対応するのではなく、その意味を考えて対応するのが大事」と呼びかけました。
Gmailのガイドラインにも定められている、なりすましメールを検知して防止する送信ドメイン認証技術「DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance)」についても説明がありました。エンタープライズ向けセキュリティ企業のProofpointによる調査では、日経225企業におけるDMARC導入状況はGmailのガイドライン直前が60%に対し、ガイドライン後は83%へと高まったとした一方で、「米国は96%とさらに高く日本はまだ遅れている」と中井さんは指摘。
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DMARCについて「DMARCのポリシーは隔離と拒否、監視の3つがあるが、DMARCの意味を考えるなら本来は拒否や隔離もできることが望ましい」とした上で「日本はまだまだ監視が多く、DMARCをただ設定しましたという段階」とし、「今後Yahoo!やMicrosoftなどガイドラインが厳しくなる流れの中、ポリシーの引き上げにも早めに取り組んだほうがいい」との展望を示しました。
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このほかSendGridの新しいアップデートについても言及。検索やCSVでのダウンロードが可能になった「New Email Activity」、機械学習でメールの妥当性を送信前にチェックできる「Email Activity Validation API」メールの見た目や迷惑メール判定リスクをチェックできる「Email Testing」といった新機能が紹介されました。
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さらに中井さんは、SendGridを取り巻くメール環境についても実際のデータを使いながら紹介。2013年にはSendGridを利用して毎月10億のメールを処理していたが、今では年に2.2兆と飛躍的にメール数が増えているとの歴史を示した上で、「10年前はいまさらメールなんていらないという声もあったがそんなことはなく、元からSendGrid使っていた人のメール通数も、新しいお客さまも増えている」と、メールの重要性を説きました。
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SendGridのメール受信環境は、OSではAndroidが一番多く、次いでiOSとモバイル環境でのメール閲覧が過半数を占めていると説明。また、「.comが含まれていないなど見方に気を付ける必要はあるが」と断ったうえで、.jpなど日本のドメインでMXレコードを設定している環境でのドメイン比率も紹介。フリーメールの「yahoo.co.jp」が一番多いものの、以降は「docomo.ne.jp」「ezweb.ne.jp」「i.softbank.jp」「softbank.ne.jp」が続くなど、こちらもモバイル環境での受信率が高いとしました。
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Email Activityやワンクリック配信停止などSendGridの便利な機能を解説
続く構造計画研究所の青木大将さんは、中井さんからも紹介があったEmail Activityの機能を紹介。送信者がメールを送った先で正しく届いているのか、届いていない場合はどういう状態なのか経緯を確認できるという点をアピールしました。
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構造計画研究所の吉田健人さんは、Gmailの新しいガイドラインの要件の1つでもあるワンクリック配信停止について説明。
ワンクリック配信停止はメール本文内に表示する「配信停止リンク」と異なり、送信者名の右にボタンを表示する仕組み。吉田さんは「本来は専門的な実装が必要だが、SendGridならタグを指定するだけで自動的に対応できる」と説明。「実装しないことでペナルティはないが、迷惑メール報告されにくくなるのでやって損はない」と補足しました。
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吉田さんの発表資料はこちらをご覧ください
SendGridユーザーがそれぞれの立場で活用方法をプレゼン
イベント後半はSendGridユーザーによるプレゼンテーションを実施。ユーザーそれぞれの視点からSendGridに対するプレゼンテーションが行われました。
トップバッターを務めたSansan テクニカルサポート部の尾崎拓真さんは、中井さんが紹介したGmailのメール送信ガイドラインに伴いお客様の問い合わせが急増し、技術的な問い合わせへの体制強化が急務になったと説明。
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オペレーターの理解度を高めてお客様に的確な説明することがボトルネック解消の鍵になると考えた青木さんは、「先ず隗より始めよ」のごとく自身のガイドラインに関する知識を強化した上で、ドキュメントや勉強会などでオペレーターの知識強化を図ることで、体制強化を実現できたと語りました。
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小説家でもあり、CMSツール「WordPress」を利用したWeb制作を手掛けるタロスカイのCTOでもある高橋文樹さんは、個人で以前から開発していたというWordPressのSendGridプラグインを紹介。
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高橋さんは「使い慣れたWordPressのエディタでメールを書き、リストを指定したマーケティングメールも送れる」などのメリットを紹介。「WordPress上で完結するのでSendGridのダッシュボードが必要ない。人類は2つのエディタを使えるほど賢くない」と語りました。
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ふるさとチョイスを運営するトラストバンクでエンジニアリングマネージャーを務める武田可帆里さんは、日々のメール送信業務における取り組みを紹介。
ダッシュボードでの操作ミスを防ぐために、GASを使ってスプレッドシートでリストを管理。DMARCレポートやメール到達率アラートも監視できる環境を構築。「私たちにとっては数十万分の一でも、お客様には一分の1。大切なメールが当たり前に届くための運用設計を行う」としました。
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武田さんの発表資料はこちらをご覧ください。
プレゼンテーションの後は参加者による懇親会の時間。初心者向けのお悩み相談ブースなども設けられ、SendGridについて基本から学ぶとてもよい機会でした。また機会があれば参加したいと思います。開催いただいた運営のみなさま、ありがとうございました。
交流会も盛り上がってます🥂#sgnight pic.twitter.com/FMqySHqv7E
— SendGrid JP (@SendGrid_JP) January 31, 2025
イベントを運営された構造計画研究所さんのイベントレポートはこちらをどうぞ。