【素数の素顔】データは弱者の戦略。大工から東証プライム上場企業を経てデータ活用企業へ~マーケター ブライアン~
こんにちは、primeNumberです。
prime numberは、素数という意味。「素数の素顔」は、素数のようなメンバーのこれまでのキャリアや入社経緯などについて聞きながら、人となりを深掘りしていく企画です。
今回は高卒で大工をしていた所から創業期のdelyに入社し、マネーフォワードを経て、現在primeNumberで活躍しているマーケティング Headのブライアンさんに話を伺います! 気になるキャリアの変遷やマーケティングという仕事の面白さについて、いろいろ教えていただきました。
屋形船や大工を経て創業期のスタートアップに“懸垂”で採用
――これまでのキャリアを簡単に教えてください。
高校卒業後、屋形船の船員や大工の見習いなどとして働いた後、創業期のdely株式会社に入社し、マーケティング部を立ち上げました。その後はマネーフォワードに転職し、toC、toB両方のマーケティングや新規事業に携わり、現在はprimeNumberでマーケティングHeadとして働いています。
――気になるポイントがたくさんありますが、順を追って聞いていければと思います。まず、高校卒業されてから大工になった辺りの話をお聞かせください。
少し生い立ちからお話ししますと、子供の頃は2人兄弟+母の3人家族で六畳一間のようなアパートで暮らしていました。あまり裕福ではなかったので、たまに電気とガスが止まるなんてこともありましたね。身の回りの人たちも中学を卒業して働く人が多かったのですが、「高校には行って欲しい」という母親の願いもあって、自分は高校まで行くことになります。
高校在学中に公務員試験を受けたのですが落ちてしまって、卒業後はとにかくお金を稼ごうと屋形船や飲食店、看板屋、引っ越し屋などなんでもやりました。その中で知人の大工さんのもとで見習いとして働いていたこともあったんです。
――なるほど、大工以外のお仕事もされていたんですね。そこからスタートアップに移った経緯を教えてください。
もともとは仕事が楽しかったので大工になろうと思っていたのですが、その矢先に元請け会社が夜逃げしたことで給料が貰えなくなり、職を失ったんです(笑)それで、運がないから自分にはこの道はあってないんだなと思いまして、大工はきっぱり諦めました。
次の働き口をどうするかと考えていた折に、実家で荷物の整理をしていたら、小学3年生の時の「将来の夢」に「サラリーマン」と書いてあったのを見つけたんです_失礼ですが自分にとってサラリーマンは「オフィスでパソコンを触っているような人」というイメージがあり、自分がそういう仕事についたら面白いな、と漠然と思いました。
ただ、自分の家にはインターネットもパソコンもなく、とりあえずパソコンは買ったものの、働くためにはそれ以上何すればいいのかわからない状態でした。そこでパソコン教室に通うか、いきなり会社に入ってしまうか、どちらかにしようと考えました。
パソコン教室はお金がないから無理だったので会社に入ってしまおうと思い、当時は何もできない高卒で20歳になったばかりの自分を雇ってもらえる場所はどこなのかと考えました。幸いSNSはやっていたので、mixiやTwitter(現X)で情報を収集してた時に見つけたのが「ベンチャー」や「スタートアップ」という言葉だったんです。
その後、スタートアップ企業を探していたところ、2014年に学生起業家として創業したdelyの堀江さん(CEO)がTwitterで「気合いのあるインターン募集」といったことを呟いているのを見つけました。これはチャンスだと思ってダイレクトメッセージを送った所「いつ面談来れますか?」と返信がきたので、「今からいけます」とお伝えして、履歴書や経歴書も持たずにすぐさま渋谷オフィスに面接に行きました。面接中のCEOとCTOからの質問で「これまで頑張って続けてきたことは何かある?」と聞かれて、正直に「懸垂を数年続けてます」と答えたところ、面白いから合格、という形で受かったのが、僕のスタートアップキャリアの第一歩です。
デリバリーからエンジニア、マーケティングまでさまざまな業務に率先して取り組む
――そこでは当時どんな仕事をされていたんでしょうか。
なんでもやりました。当時デリバリー事業をやっていた時はバイクと車で雨の日も雪の日も渋谷を駆け回ってましたね。朝7時頃にオフィスに行って率先して掃除をして、お客さまから注文が来たらすぐさま配達をして、残りの時間でプログラミングを学ぶ、といった生活です。プログラミングは全然できなかったのですが、本やインターネットの記事を読みながら必死に取り組んで、その都度CTOからフィードバックを貰いながらメディアサイトを構築しました。無論、素人のかくコードなので、後から入社されたエンジニアの方々にご迷惑をおかけしましたが(苦笑)
――そんな中で、どうしてマーケティングに取り組むことになったんでしょうか。
当時toCのこのビジネス領域は「Winner takes all」だという話になり、競合よりもユーザーを早く勝ち取ることでCAC(Customer Acquisition Cost)は低くLTV(Life Time Value)は高くなると考えていました。そこでユーザー獲得の1つとしてまずは代表が広告運用をはじめたのですが、資金調達などもあり次第に時間がなくなっていったため、誰か代わりにやってほしいという話になり僕が手を挙げた、というのが最初のきっかけです。当然広告運用など全く知らなかったため、インターネットで調べたり競合を調査したりしながら現場でマーケティングを学んでいました。また、当時は運用をインハウスで行うよりも広告代理店にお願いするのが主流だったため、最も情報を持っている広告代理店や媒体各社の方たちに学ぶことも大きかったです。
月間で数億円の運用、全国でのテレビCM放映、テレビ番組の自社制作など、当時の若さでは想像できないような経験をさせていただき、ユーザー数も0から1000万人を超えるようなサービス(※現在は4000万人以上)をつくる一助になれたことが刺激となりました。当時のメンバーは全員が事業に必要なことをやっていたので、これがマーケティングの一環だというのは後から知りました。
――それからマネーフォワードに行くことになったのは、どうしてだったんでしょうか。
マネーフォワードの友人に誘われたのがきっかけではありますが、ちょうど株式投資(NISAや確定拠出年金)を自分でも始めたタイミングで、投資に興味があったんです。とくに個人資産や助成金等の制度に関する領域は人によって情報の非対称性が大きい分野で、まだまだ取り組める課題があり面白いなと思い始めていました。先に触れた通り、子供時代は周りより貧しい家庭でしたので、複利や株式や不動産を表面上でも学んだときに、学校の必須科目になぜお金の勉強がないのかと思ったほどです。
また、面談で現在はカンパニーCMOの駒口さんともお話しをさせていただき、すごく優秀な人で楽しく会話をさせていただいたこともあり、チャレンジしてみようと決めたのを覚えています。
マネーフォワード入社時は、toCのFintech領域のマーケティングとして、テレビCMや、アプリグロース、新規事業のグロース、マネジメント等を担当しました。アプリグロースでは、課金転換率やリテンションレートをあげることが肝でしたので、デザイナーやエンジニアとプロジェクトを組んで、プロダクト利用指標を上げるために毎週いくつものABテストを繰り返したりと四苦八苦してました。
また、当時印象的だったのは、売上、MAU、WAU、DAU、リテンション、プロダクト利用などのKPIを全員がみることのできる天井モニターに表示されており、数字の状況が常に共有されていたことです。エンジニアもデザイナーもマーケも皆が数字をみて会話をする文化は素晴らしかったと今でも感じています。
その後はBtoB領域のERP・会計領域へと異動をして、マーケティングやオペレーション構築を担当しました。たった1年でマーケ組織だけでも2人から10名になり、サービスも組織もすごいスピード感で伸びていきました。THE MODEL、マルチプロダクト、カンパニー制、XOpsなどにいち早く取り組んでおり、結果をだせば若者にも挑戦する機会がある文化で、BtoBマーケティングの経験としても沢山のチャレンジをさせていただきました。
SaaSの次にデータ基盤がくる!TROCCOに魅力を感じてprimeNumberへ
――primeNumberに出会ったのはどういうきっかけだったんでしょうか。
BtoBのマーケティング領域を担当していたときに、ファネル分析やボトルネックの特定のためにSFAやMAのデータを触っていました。その際にデータエンジニアの方と会話する機会が多くあったんですが、当時データエンジニアの方は非常に多忙で、事業部門の要望を受けて動き出すまでに時間がかかることが多かったんです。そんな中で、「primeNumberのTROCCOを入れれば楽になるよ」、「もっとスピード感をもって動けるようになるよ」という話を聞きました。
そこでTROCCOって何だろうと思って調べたらすごく良いサービスで、かつ当時20名以下の会社が作っていることが分かりました。実際に使っているユーザーは熱狂しているのかも知りたかったためTwitterでサービス名検索をしたところ、BtoBサービスでは珍しいくらいに沢山の口コミが投稿されていて本当に感動しました。その勢いで問い合わせをしたというのがきっかけです。
有難いことに前職では、SaaSの伸びを身に染みて感じることができました。一方で、お客さまが業務改善のために複数のSaaSを入れると、SaaSに集まったデータの連携が課題になってきます。こうした複数のSaaSから得られるデータがなめらかに繋がり、全部まとめて可視化されていて、経営や現場の状態を把握できるというのが顧客が望んでいる世界観だと思うのですが、これをSaaSだけで実現するのは難しいとも思いました。
TROCCOなら、各SaaSからデータを自動で収集し、DWHに集約することで分析に適した環境を整備できる、今はまだ浸透していなくても未来には必ず波がくる領域だと強く魅力を感じました。
営業や広報活動、コーディングまでできる制限の少なさがマーケターの魅力
――primeNumberではどのような仕事をされていますか?
Marketingヘッドとしてマーケティングチームのマネジメントおよび戦略を実行するために何でもやってます。primeNumberもまだまだ成長フェーズですので、日々課題が変化してきており、柔軟に対応する必要があるというのが現状です。
――マーケティングは、はじめからやろうと思っていたわけではなかったという話だったかと思います。今後はマーケターとしてキャリアを描いていくんでしょうか?
そうですね。必要なことを必要な時にやっていて、たまたまマーケターになっていった、という形でしたが、今ではマーケティングは面白いと思っていますし、自分の強みを発揮できるポジションだなと思っています。
面白さの理由の一つは制限が少ないというところですね。マーケターが営業しちゃいけないわけじゃないし、広報活動の一環をマーケターがやってもいいし、コードを書いて実装してもいいと思うんです。自分で制限をつけない限りは、目標達成のためなら何でもやるし色んなボールが飛んでくるし投げられるというのが僕の中でのマーケター像でもあり、それが面白いところです。
――他にも、マーケティングの面白いポイントや、マーケティングにおいて大切なことを教えてください。
マーケティングというと戦略の話の本が多いと思いますし僕も好きですが、成功には「タイミング」と「実行」が必須要件と思っており、地に足をつけて誰よりも早く実行と検証を繰り返していくことが大事と考えています。なので泥臭くオペレーショナルエクセレンスと再現性を追求していくようなマーケティングが個人的には好きですね。
――ブライアンさんは、数字やデータを大切にされている印象です。
そうですね。数字やデータは弱者の戦略だと思っています。
先に話した通り、僕には学歴やカッコいい経歴はありません。そんな中でも、経営陣や株主との会話に参加しないといけなかったことや、年齢が上のハイキャリアの人をマネジメントしないといけないことがありました。
そんな人たちと同じ机上で話すための方法が、同じ数字を見て会話をする、ということです。定性的に会話すると、やっぱり権威性のある方が勝ってしまうじゃないですか。でも、数字をみて会話をすることで、お互いに正しい方向に向かって議論ができたことや良いフィードバックをいただいたことが多かったと思います。
primeNumberの価値が自然と伝わる状態を作り出したい
――今後注力したい領域はありますか?
プロモーションをしなくてもTROCCOがどんな価値を持っているのか知ってもらえる状態をつくりたいです。primeNumberの誰かが話さないと伝わらない、広告に頼らないと伝えられないという状態ではなく、たとえばお客さまがデータ活用について検索をしたら、UGC(User Generated Content、消費者が自ら発信するコンテンツ)がすぐ出てきて分かるとか。そのためには、ユースケースやコミュニティの活性化も大事だと考えています。
――最後に、好きな8 Elementsを教えてください。
「価値を返す」です。マーケティングは、お金を使っている部署です。企業活動であるからには、費用以上の利益を出さなきゃいけない、価値を返さなきゃいけないと思っています。
お金だけでなく仕事においても任されている期待値があるので、それに対して価値を返すことが大切だと思い、この言葉がしっくりきています。
――ありがとうございました!