自社イベントの運営事例に見る、イベントマーケティングの仕事内容と「挑戦を楽しむ」カルチャー
こんにちは、primeNumberです。
2022年11月24日、イベント「01(zeroONE)2022 Autumn」を開催しました。「01(zeroONE)」(以下01)は、「あらゆるデータをビジネスの力に」をテーマに、データ活用の知見やユースケースを公開するオンラインイベントです。企業の、そして日本市場のデータ活用促進を目指し、さまざまな情報を提供します。第2回となる「2022 Autumn」のテーマは「データマネジメントを考える1日」。企業がデータ活用を進めるファーストステップとして、その環境を構築・運用するための「データマネジメント」に焦点を当てました。
01について、前回は元AWSマーケティング本部長であり、現在primeNumberの社外取締役を務める小島英揮さんと、primeNumber代表の田邊の対談を紹介しました。
今回は、リーダーとしてイベント全般をディレクションしたマーケティング本部の尾島と、代表田邊の対談を紹介します。尾島がどういった経緯でその立場となったのか、運営はどのように行ったのか、詳しく聞きました。イベントマーケティングの仕事内容とprimeNumberのカルチャーを、本対談を通じてお伝えしていきます!
入社してわずか2週間後、全社イベントのリーダーに挙手。関わるメンバー全員のハブに
田邊:やってみてどうでした?
尾島:一言でいえば、やって良かったです!
田邊:尾島さんが入社したのは5月の中旬。リーダーを務める、と手をあげてくれたのは入社してからたった2週間後くらいだったよね。
尾島:はい。前回の録画を見て、どのセッションもすごく良いものだったと思いました。一つひとつに登壇者の思いも詰まっていて、話も面白い。運営は大変だったという話も聞きましたが、それさえクリアできれば大丈夫だろうと思いました。
田邊:これまでのキャリアで、同規模のイベントを運営したことはあったの?
尾島:ありません。イベント運営は行ったことがありますが、予算や集客の規模、取り扱うテーマは全く違うものでした。
田邊:前回の01はリーダーを明確に置いてなくて、起案した私が半ば口を出したり、半ば任せたりと中途半端な動き方になってしまった。それで運営が難しくなった部分もあり、私の視点ではそこは主要な反省点だったんだよね。だから、今回はまずリーダーを決めるよう、チームには明確に伝えたはず。そんな中で、入社間もなく、同様のイベント運営経験もない中で、尾島さんが手をあげてくれたことはすごく嬉しく、そしてありがたかった。言ってみれば、「挑戦を楽しむ」を体現してくれたんじゃないかと。
田邊:どういうことを気にしてリードを心掛けた?
尾島:ハブのような役割です。何か分からないことがあった時、とにかく私に聞けば分かる、という認識をメンバー全員に持ってもらえるようにしました。実際にやったことは、イベント全体の進行管理と集客です。配信ツールはどうするか、どこまで自分たちで管理してどこから外部パートナーの協力を仰ぐかといった骨子を考えて、外部パートナーのEventhub社とスケジュールを組み立て、収録会場やデザインなどを固めていきました。また、ご登壇いただく方々と内容を詰めつつ、集客するための媒体選定や運用型広告の設計・実施・クリエイティブ改善、収録後は編集をおこないました。
田邊:他のメンバーに任せる部分もあったと思いますが、その役割分担はどう進めていった?
尾島:イベントテーマの策定や登壇者の選定は、マーケティング本部全体で行いました。また、全体の進行管理は私が行いつつも、各セッションに主担当・サブ担当を配置しました。セッションに登壇する方と日々のやり取りをするメンバーが必要だと思ったからです。
それ以外は大体私が担当するようにしました。あまり細々と分担しすぎると、結局誰が最終決定をするのかが不明確になる、不要なコミュニケーションが発生するなど、効率的じゃなくなってしまうからです。
想定視聴者を踏まえてテーマを選択し、社内外を巻き込みながらコンテンツを作り上げる
田邊:2022Autumnのテーマ「データマネジメントを考える1日」はどうやって決まっていったの?
尾島:まず、どのような方を視聴者として想定するか、すごく悩んだんです。大きく分けると、エンジニアか、非エンジニアか。でも、「データ活用」に携わる方はどちらにもいますし、どちらの方にも視聴して欲しい。両者が「これは重要だよね」という共通認識を持った上で議論できるようにしたい。そこで、データ活用に携わる全員が共通言語として使えるキーワードは何だろうと考え、「データマネジメント」を選びました。
田邊:確かに、primeNumberの提供するデータ統合自動化サービス「trocco®」(※)も使うのはデータエンジニアだけど、「trocco®」の恩恵を受ける人は多岐に渡るわけで。データをビジネスの力に変えるということは、業績をあげるためにデータを使うということを意味するし、当然経営層も含めて考えて欲しいテーマだしね。
ただ、データマネジメントというキーワードは少し耳馴染みがないけれど、その辺りはどのように考えていたの?
尾島:確かにその通りですが、DXやデータ活用というテーマでは、本当に見て欲しい人に刺さらないような気がしたんです。人それぞれでイメージすることがバラバラになってしまうのでは、と。であれば、データマネジメントというキーワードの方が私たちの提供するサービスとも関わりが深く、適切ではと思いました。集客の時にはデータマネジメントという言葉だけを使うのではなく、媒体の特性に応じて、かみ砕いた表現を使うなど、工夫しています。
田邊:なるほど。イベントの具体的な中身の方は?
尾島:初めはデータマネジメントとはどのような概念かを説明するセッションにして、続くセッションで具体的な話をしていくという構成にしました。タイトルや概要でどういう人を対象にしているかを分かるようにして、視聴者の方に好きなものを選んで貰おう、と考えたんです。
田邊:コンテンツ作りには、カスタマーやクライアントの方々のお力添えも不可欠だったよね。協力が得られたのは、日頃からカスタマーとの関係性を作っているメンバーの、努力のたまものだね。
尾島:社内メンバーにヒアリングして「この人だったらこういう話をしてくれるだろう」という具体的な案を出して貰えたのもありがたかったです。
田邊:前回の実施を通じて、01にどんな価値があるかが分かっていたからこそ、メンバー全員がポジティブに取り組めたのかな。
集客の成功要因はシミュレーションと裁量の大きさ
田邊:集客はどうだった? やっぱり大変だった?
尾島:とても大変でした! でも、目標が2000名で、結果2819名だったので、無事達成しています。前回は1078名の方にご登録いただいたのですが、集客の履歴を見た時に、苦労の跡が見えたんですね。同じ方法で集客したら、今回の目標2000名を達成するのはかなり厳しいだろうなと思っていました。
なので、どの媒体でどのくらいお金を使い何名集客するか、というシミュレーションをしっかりやりました。大枠の予算と集客目標は決まっていたため、そこから上限獲得単価を算出しました。そして全体の予算を成果報酬型の広告と運用型の広告とで半々に分け、媒体数や特性を踏まえて調整し、精度を高めていきます。
成果報酬型は「1人○○円で○○名集客できます」という取り決めができるので計算がしやすいのですが、集客数はあくまで目処であり達成が確約されているわけではありません。成果報酬型の広告に予算を使いすぎると、計画が大きく崩れてしまう可能性がありました。FacebookやTwitterなどの運用型広告は明確な獲得単価が定まっていない一方で、自分たちの運用次第で改善できます。なので、予算をある程度分散させてリスクを回避しつつ、集客目標を達成できるようにしました。
運用型広告は、広告表示の回数に応じた金額やクリック率、コンバージョン率などを考慮してシミュレーションします。広告を運用してみて、数値がシミュレーションから外れた場合は早めに対策をしていきました。運用型広告が成功したのは、自社で運用をしたから、そして社内でも裁量が与えられていたからだと思います。問題が発生したら、自分自身ですぐに広告を改善することができました。たとえば広告素材は、デザインやサイズ違いなど全部合わせて100以上作っています。
イベントという目に見える成果物を通じて、フィードバックを貰えることがやりがい
田邊:嬉しかったことや、大変だったこと、全体を振り返ってみてどう?
尾島:特に嬉しいと思った瞬間は3つです。収録映像ができあがった時、集客目標を達成した時、イベント当日に視聴者からポジティブな反応を貰えた時です。マーケの場合、普段は地味な作業も多いのですが、イベントという目に見える成果物を作り、さまざまな視点からのフィードバックを貰えたことが、やりがいになりました。予算や人数が大きくなるほどプレッシャーも増しますが、その分こだわりや責任感を持って取り組めます。
(2022 Autumnの参加者アンケート等から実施結果を振り返る記事)
大変だったこともありましたが、皆さまのご協力のおかげで乗り越えられました。セッション内容を収録ギリギリまで調整してくれた方、トラブルが起きた際親身になって協力してくれた方、漏れそうなタスクを先に気づいて拾ってくれた方など言い出したらキリがありません。
イベントは継続して実施することに意味がある
尾島:次回のテーマは、今回の01を踏まえつつも、もう一度話し合おうと思っています。毎回同じだと、視聴者の人に「またか」と思われてしまいますし。
田邊:たしかに。多くの人に興味を持ってもらえるテーマにして規模を大きくするのか、テーマは絞ってより深みのあるイベントにするのか、といった方向性も整理する必要があるね。もし今よりテーマを広げるのであれば、イベントの形式も変わるかな。複数セッションを同時に実施しつつ、各ラインに細かいテーマを設定することも考えられるし、今の01はテーマを広く設定してprimeNumberの冠イベントとしつつ、細かいテーマに絞った別イベントを実施するとか。
尾島:そうですね。何事もスタートする時はトラブルが多くて大変ですが、こうしたイベントは継続していくことに意味があると思うので、みんなで頑張って行きたいと思っています。
田邊:そうだね。マーケティング本部のリードのもと、全社の協力と連携あっての01なわけで、本当にみんなありがとう、そしてお疲れ様でした。一方では、そんな難しいプロジェクトをリードする役割を、あの入社間もない中で自発的に担ってくれて、かつ成功させてくれた尾島さんを誇りにも感じています。本当にお疲れ様でした。ちょっと飛躍するかもしれないけど、01に限らず、primeNumberの全員がさまざまなテーマでチャレンジを試みて、そしてそれを楽しんでくれたらいいですね。
いかがでしょうか。自社イベント「01(zeroONE)」の運営事例を通じて、イベントマーケティングの仕事内容をお伝えしました。これからイベントマーケティングに取り組みたい方や、今取り組んでいてどのように成功させるか悩んでいる方の参考になれば幸いです。
また、primeNumberで働くことに興味がある方には、実際の仕事のやり方を通じて、カルチャーを感じ取ってもらえればと思います。primeNumberで働くことに興味を持った方は、ぜひカジュアルに話を聞きに来てください!
(註釈)
注1 ユーザーの持つ膨大かつさまざまな種類のデータを自動で統合し、データ活用を効率化するクラウド型サービス