2025年のキーワードは連続性。グローバル化とAIの事業実装がチャレンジ。代表の田邊さんに聞く、primeNumberが描く今後の展開
新年あけましておめでとうございます、primeNumberです!
2015年11月19日に創業したprimeNumberにとって、2025年は10周年という節目となる年です。それに先立って、2024年は新サービスの開始や大規模な資金調達、自社イベント「01(zeroONE)」初めてのリアル開催など、さまざまなアクションが展開された一年でした。
10周年を迎え、さらにその先にprimeNumberは何を目指すのか。代表の田邊さんと2024年を振り返りながら、2025年や今後の展望について話を聞きました。
長期戦略への思索とブランドリニューアル
――新年あけましておめでとうございます。2024年はどんな年でしたか?
改めて、会社の長期的な歩みを考え始めた一年でした。
2月には、韓国に続く2カ国目の海外進出としてインド現地でビジネス開発チームを発足し、事業面では「COMETA」や「TROCCO ACTION」といった新たなサービスを提供開始。組織としても、社員数は100名を超える規模に成長しました。
また、総額20億円超の資金調達を実施し、新たな社外取締役と常勤監査役を迎え、社員はもちろん、新しい株主も含めてprimeNumberがより社会性を帯びていく中で何をすべきか、どう進めていくべきかを考え始めた年でもありました。
――コーポレートブランドのリニューアルも実施しました。
ロゴの視認性を上げたかったという従来からの課題を解決する視点は率直にあったのですが、創業から10年近くを経た会社として次のステージに向かう中で、組織や事業の成長を表したい、という気持ちがありました。
私たちは「あらゆるデータを、ビジネスの力に変える。」というビジョンを掲げていますが、言わずもがなスタートアップの1社であり、まだまだ小さな存在です。とはいえ企業として10年が経とうとしている中で、人間で言うなら少年少女が青年になるような、実際に成長した姿を対外的にも示したい。そして自分たちだけではなく、社を取り巻くさまざまなステークホルダーと向き合いながら価値を返し、プレゼンスを発揮するとともに、共創・共生していきたい。今回のリニューアルでは、そういった考えが表現できたのではないですかね。
――リニューアルに際してビジョンステートメントも更新しました。
ステートメントをアップデートしたかったというより、組織、事業、ブランドの成長とデザインのアップデートが、社会の変化と掛け合わさって、結果的にステートメントのアップデートを導いてくれたのだと私は解釈しています。
元々のステートメントは「私たちがこうなりたい」という、見方によってはただただ自分本位なステートメントでした。当時はそれでよかったのだと思いますが、それから時間の経過と共にいくばくかの成長を経て、見ることができるようになった景色があります。その上で、私たちが自らのビジョンを実現するためには、当然ながら社会の変化やトレンドを踏まえ、ステークホルダーとともに広義のデータ活用環境・市場をより良くしていく、このことをメッセージングしたかった。その点で、今回のアップデートはそれに即したモノに行きついてくれたのではないかと感じています。
.com化によるドメイン統合は、組織や事業の明確なグローバル化宣言。世界のprimeNumberへ
――デザインだけでなく、Webサイトのドメインも「.com」に移行しました。
私たちがビジネスの対象としているデータは、そもそも国や言語に縛られるものではなく、世界中で扱われ、必要とされているという大前提があります。その中で、なぜ日本だけで考えるのか、私たちのビジネスを日本だけで展開する意味はあるのか、という何年も前から社内外で口にしていた問いに対して、具現化されたリアクションのひとつです。
プロダクトは英韓対応が済んで既に運用されて来ましたが、今回の.com化によるドメイン統合とサイトリニューアルは、目に見える形で「日本の」primeNumber社から脱し、グローバル市場と向き合う組織であることの明確な宣言であるとも言えます。ただ……、本サイトのマルチリンガル対応が追い付いていないのは、私たちの「伸びしろ」と言えますかね笑 順に対応を進めましょう。
一方で社内はというと、韓国・インド共にビジネスチームのコミュニケーションは当然ながら英語ですから先行する形になっていましたが、エンジニアリングチームも、やはりメンバー構成が先行して多国籍化していくCOMETAチームのコミュニケーションが英語になっていきます。韓国やインドの活動がもっと活発になってくるのであれば、マーケティングや広報でも外国籍のメンバーを迎える必要もあるでしょうね。手前味噌ですが、私もまだまだうまくはありませんが、海外の投資家にはできるだけ自分の英語で説明するようにしています。ココも「伸びしろ」のひとつ👍
ビジネス、エンジニアリングとツールを活かしながらドキュメンテーションもマルチリンガル対応が始まり、HRでもそうした動きが始まっていますが.....、逆説的ではありますが、全ての英語化、いわゆる公用語化には慎重です。順に集まったメンバーで通じるコミュニケーション手段を選べばよいと思っています。日英のみならず現地語を含め、それを選ぶのも、プロフェッショナルに求められるひとつの要素かと。
こうして組織の多国籍化が進み始めているのは、採用面でのアクションが先行してきたからです。2025年現在の、多国籍視点をもった組織拡張は「海外展開しようとする会社が、なぜ日本だけで、日本人だけを対象として採用活動をするのか」という問いに、コミュニケーション本部の採用チームと一部のマネージャー陣が応えてくれたからに他ありません。この場を借りて、厚く御礼申し上げます、ありがとう!
採用面でのアクションが始まって、半年から9か月ほどで明確な成果が出始めています。既にフル回転している現行チームと組み合わさってスループットが上がりやすくなるよう、いまは日本に住んでいて日本語が話せる外国籍の方の入社が順にはじまっていますが、そのソフトランディングを経て、今後は日本語を話さない、日本に住んでいないという外国籍の方も増えてくることになるでしょう。
グローバル化に際しては、最後にひとつの「伸びしろ」というよりは意識をはじめるべき大事なことは、異なる他の文化とも向き合うということ。組織の多国籍化や事業の海外展開を進める上では、英語やその国の言語が話せるだけでなく、その国の文化をしっかり理解している現地の人を迎え、私たち日本のメンバーもそれに向き合うこと。こうした姿勢や考えが必要になってくると考えています。
TROCCO事業のコアバリューである「つなぐ」を強化
――12月には5つのニュースリリースを発信しましたが、全体を通じて伝えたかったメッセージはなんでしょうか。
メインメッセージは「あらゆるデータを、ビジネスの力に変える。」という企業ビジョンの延長線上にある、TROCCO事業の基本機能でありコアバリューである「つなぐ」という機能の強化です。
「CONNECT 100+」や「Connector Builder」はわかりやすいですが、「Self-Hosted Runner」やCDC構成のリニューアルも目的も、ひとえに「つなぐ」の強化です。
逆説的には、つながらなければ、言い換えればデータをビジネスの力に変える状況に導けないのであれば、この事業は価値を返し切れているとはとても言い難い。データをトロッコが運んでいる、が事業の起源なんですから笑 今となってはそれに付帯する提供価値はたくさんありますが、なにより、事業が根源的に提供すべき価値を維持し得るレベルまで引き上げること、要は、まず最初に課題として自明であるコトを解消するということです。
(機能強化の詳細は上記リリースをご参照ください)
ただ、リリースされる機能群からもわかる通り、単純に増設活動を継続するという話しとは異なるので、長期戦略もそうですが、社内には公言通り上期中に、社外へは遅くとも次回の01(zeroONE)で、その先の話をお伝えすることになると思っています。
そしてCOMETA。COMETAでは「COMETA AI」という形での発表となりましたが、こちらの提供価値増強も重要です。COMETAのPdMを担当するサトシくんがAIとの関連性について考えを言語化してくれていましたが、社内では、AIが私たちのビジネス領域としてもう少し離れたところにあると思っていたメンバーもいるかもしれません。しかしながら、AIは離れたどころか半分以上もう跨いでいるので、新設されたデータイノベーション推進室との連携で、今後さらに強化していきます。そろそろ第一弾の機能がリリースされるはずです。
――primeNumberにとってAIはどんな存在になるのでしょうか。
事業の中にあたりまえのように実装される要素のひとつです。ここ数年で、そう感じさせられる体験もいくつかありました。それはやはり海外でしたね。
私たちの株主であるSalesforce Venturesは、投資先のCEOを集めて業界のグローバルトレンドやその先行事例を共有するイベントを催してくれるのですが、2023年4月に開催されたそのイベントの時点で、すべてのセッションのテーマ・コンテキストがAIに関した技術やユースケース開発でした。集まっている会社はB2Bが中心でしたが、必ずしもデータの会社ばかりではないにも関わらず、です。2024年のイベントにおいては、言わずもがなです。
また、2023年の後半に縁あって参加した米ベンチャーコミュニティとの活動においては、起業家にはAIを事業に実装する前提で思考させ、その中からいいものを選別し投資する、なんて話もありました。そもそも日本よりも起業家の母数が多い中でそんな流れがあるのも目の当たりにし、これではどんどん差が付いていくなという危機感も覚えました。
私たちもAIと真剣に向き合うべく、社外取締役である小島さんとの縁もあってご一緒することになった株式会社ジェネラティブエージェンツ取締役COOの吉田さんをお迎えしながら具体的なテーマを策定する中で、一番最初にプロダクトに取り入れたものがCOMETA AIでした。今期から、組織として明確にR&D機能を担うことになったデータイノベーション推進室の活動にリーダーシップを任せながら、TROCCOでの実装を含め、その活動もより加速していくことになるでしょう。
2025年も継続して新機能やサービスをリリース。自らの取り組みを対外的に示していく一年に
――初のリアル開催となったイベント「01(zeroONE)」はいかがでしたか。
先ほどのブランドリニューアルで触れた、会社として成長している姿を見せたいという思いを、いい意味で体現できたのではと実感しています。会場に来ていただいた方々の期待値やSNSの反応も含めて、改めて身の引き締まる思いでした。発起人の私としては、非常に感慨深いものがありました。
私たちも株式会社という利益集団である以上、こうしたイベントの開催をビジネスにつなげる必要はありますが、それ以上に、データのビジネス活用という普遍かつ共通のテーマに対して、オピニオンリーダーの皆さんにも意見を聞きながら、課題認識の確認や問題提起を社外の方と共にする場として、今後も継続していきたいと思っています。その結果としてマーケットが大きくなり、私たちだけでなくデータのビジネス活動が成熟し、社会全体が発展するという一連のプロセスに寄与したいという思いがあります。
そして同時に、社外の方だけでなく、primeNumberのメンバーが自身の立ち位置をあらためて認識する場にもなったのではないかとも感じました。これはリアルイベントの醍醐味でもあると思いますが、多くのものを直接目の当たりにしたと思います。primeNumberがどういう会社で、社外からどう見られているのか、どういった立ち位置にいるのか、想像通りかそれ以上か以下か、全社会議であるpMでも問いかけましたが、メンバーのみなさんの実感値はどうでしたか?
――2025年と、その先の展望について改めてお聞かせください。
2025年は、2024年から連なる形で、仕込んできた種をひとつひとつ芽吹かせ摘み始めていく、そんな一年です。各プロダクトの新機能やサービスのリリースが目白押しです。そして、私たちの取り組みを意志をもって社内外にメッセージングしながら活動していきたいと思っています。「社内」をわざわざ含めているのは、組織もそれなりに大きくなってきた中で、やはり他部門の動きが見えにくくなってきた状況から、私自身が敢えてそうした認識を持つようにしているためです。
「社外」に話を戻しますと、私たちの事業はやはりわかりにくいが、実際に知ればその良さがわかる、と言っていただくことが多いのがまだまだ現状だと思います。私たち自身が、さまざまなチャネルから事業の価値を発信し、この先を期待してほしいということを伝えていかなければならない、そう思っています。長期的な戦略を含めたまとまった話は、やはり次回の01(zeroONE)でしょうね。
最後に、社内のメンバーに向けて。
その一年で心がけて欲しいことを、メッセージとして期初に伝えているのですが、今期はそれは「自ら描く」。そこにまだなければ、自らアクションして組織や事業・ビジョンの解像度を上げ、グローバル化の進行も楽しみながら8 Elements と共にあってくれることを期待しています。